カザフスタン選手権の今昔(前編)
フィギュアスケート界でカザフスタンという国は、個性的な代表選手たちの活躍のおかげですっかりメジャーな存在になりました。
が、ごく一部の選手以外については情報も少なく、特にカザフスタン選手権については、近年までいつどこで行われたのかもわからないまま結果だけが流れてくるような状態でした。
情報が少ないのは、有名な選手が少ない上に、その有名な選手も出場しないことが多いせいかもしれません。
デニス・テンくんもアブザル・ラキムガリエフ先輩も国内ワンツーの地位が確立してからは出場していない年が多いですし、エリザベート・トゥルシンバエワ選手も2017年からは出場していないので、世界選手権出場レベルの選手はエントリー任意なのかもしれません。
ちなみに、日本語版Wikipediaによると、テンくんもアブザル先輩も、出場していなかった大会でもなぜか順位が記載されたりしています。国際大会の結果を総合的に考慮した順位を国内順位として公表していたのでしょうか??
テンくんが出場せずアブザル先輩が1位だった2014年も、テンくんもアブザル先輩も出場していなかったはずの2015年も、日本語版Wikipediaでは「1位 デニス・テン、2位 アブザル・ラクムハリエフ」と記載されていて、謎は深まるばかりです(英語版Wikipediaによると、2014年の2位と2015年の1位はDaniyar Adylov選手)。
そんな謎の多いカザフスタン選手権ですが、何と!
2020年12月に行われた大会では公式サイトとライブストリーミングが用意され、世界に向けて公開されました。
アーカイブ動画はこちら↓
男子も女子も国内上位の選手はほとんどが国外(ロシア)拠点だからか、国際大会によく出場している選手たちは、今回ほとんど出場していないようでした。
国際大会レベルの出場者は、男子シングル二連覇のミハイル・シャドロフ選手だけでした。シャドロフ選手は、2020年の世界ジュニア選手権にも出場した選手で、ロシアで練習しています(ウルマノフ門下)。
世界ジュニア選手権も四大陸選手権も中止になりましたが、もし開催されていれば彼が代表に選ばれていたでしょう。
ところで、突然公式サイトがオープンし、ライブストリーミングで試合の様子が発信されたカザフスタン選手権ですが、これは2019年の大会での出来事も影響しているのではないかと推測します。
2019年の大会は、四大陸選手権出場経験のあるNikita Manko選手が棄権(おそらく怪我)。
エース不在の大会で優勝したのが、ジュニアグランプリにも出場したことのないミハイル・シャドロフ選手でした。
この結果に不満を持った2位の選手(2019年世界ジュニア出場)が、表彰式で他の選手や大会関係者への敬意に欠ける振る舞いをしたため、一定期間公式試合への出場停止という処分が下されました。
そして、この処分や採点をめぐって、2位の選手とカザフスタン連盟との間でちょっとしたトラブルになったようです。
そういう事情も踏まえ、2020年の大会は試合から表彰式までライブで世界中に発信することにより公平性を期したのかな、と思ったのでした。
(公式サイトもライブ発信も「Denis Ten Forever」のアカウント管理者が関わっているようでしたので、テンくんのご親戚か友人かが協力されたのでしょうね。)
なお、カザフスタンのスケート事情については、almatyfigureskatingさんのインスタが詳しいです。
https://www.instagram.com/almatyfigureskating/?hl=ja
(後編につづく)