カザフスタンのジュニア男子選手
「デニス・テン メモリアル チャレンジ」を観られた方はお気づきになったでしょう。
カザフスタンのフィギュアスケート界、特に男子選手の成長ぶり。
テンくんとアブザル・ラキムガリエフ選手という個性的な2人の選手が活躍する一方、それに続く男子選手がなかなか現れず、早くからシニアに上がったテンくんが世界ジュニア選手権にも出場。が、せっかく後輩選手のための枠を勝ち取っても、その枠を使う選手がいない…なんて時代がありました。
その後も、世界ジュニア選手権の最低技術点を取れる選手が1人いるかどうか…というレベルだったのですが、昨シーズンは最低技術点を満たす選手が2人に。
Nikita MANKO選手とRakhat BRALIN選手。
カザフスタン選手権の結果、シニア1位のNikita MANKO選手は四大陸選手権へ、シニア2位のRakhat BRALIN選手は世界ジュニア選手権へと派遣されました。
そして、今シーズンはさらに、Dias JIRENBAYEV選手(昨年カザフスタン選手権ジュニア1位)が最低技術点を獲得。
何と世界ジュニア選手権への出場資格がある選手が3人も!
Rakhat BRALIN選手はデニス杯に続いて出場したアイス・スター(ジュニア)で2位。しかも、186.88点というなかなかのハイスコア。
テンくんの活躍を見て育ったり、また直接指導を受けたりしたカザフスタン選手たちのこれからの活躍が楽しみです。
…ってことで、ジュニアとシニアの試合の掛け持ちで超多忙だった2009‐2010年シーズンのテンくんの動画をご覧ください。
【2010年 世界選手権SP「シング・シング・シング」】
初めて見たとき、スケート技術以前に全身を自由自在に操る能力に驚嘆😲
バレエをやっていた自分としては、羨ましいというか、「氷の上でこれだけ自由に身体を動かせたら楽しいだろうな」というのが最初の感想でした。
実際、テンくんの表情も楽しそうですしね。
キスクラ席での変顔パフォーマンス(パントマイム)も含めて、見るたびに楽しい気分になる動画です。
「デニス・テン メモリアル チャレンジ」
2019年10月9日から12日にかけて、カザフスタンで初めてのISUフィギュアスケート大会「デニス・テン メモリアル チャレンジ」が開催されました。
同日程でフィンランディア杯があり、グランプリシリーズ直前でもあり、正直なところ、出場選手集まるのかな…と心配していました。最悪、出場選手がカザフスタンとロシアの選手だけ、なんてこともあるかと。
が、エントリーが発表されてみると、旧ソ連地域を中心に、アジア、ヨーロッパ各国の選手の名前があり、ほっと一安心。
特に、デニス&フレンズショーにも出演したチェ・ダビン選手、仲の良かったイ・ジュンヒョン選手、ロシア時代からの幼馴染のモリシ・クヴィテラシヴィリ選手など、テンくんと親交のあった選手がこの試合を選んで出場してくれたのを見て感激。
(エントリー・リザルトページはこちら↓)
ロシアからは実力ある有名選手が多数出場。特にジュニアカテゴリーはダリア・ウサチョワ選手、ダニイル・サムソノフ選手、アルトゥール・ダニエリャン選手といった今年のジュニアグランプリシリーズで活躍したトップ選手が出場。
そして、オープニングとエキシビションには、テンくんと同い年でノービス時代からライバル選手だったアルトゥール・ガチンスキーさんと、川口悠子&アレクサンドル・スミルノフ組がゲスト出演。
大会に合わせて、Artur Gachinskiy Fanpageさんのインスタグラムで懐かしい写真が投稿されていました。
https://www.instagram.com/p/B3gEhVBpvXo/
また、オープニングとエキシビションの演出を監督したのはエレーナ・ラジオノワ選手。ロシアのスケート連盟関係が大会運営にかなり協力して下さったものと思われます。感謝。
エキシビションの様子はこちらの動画で見られます。
残念ながら遠方への出張と重なり、試合は女子の一部とエキシビションしかリアルタイムでは見ていないのですが、若い選手がたくさん出場し、初めての大会らしいフレッシュなメンバーによる温かい雰囲気の大会という印象を受けました。
来年以降も開催されることを期待します。
ジャパン・オープンにて…
昨日、ジャパン・オープン2019を観に行ってきました。
昨シーズンからスケートと疎遠になりつつあるというのに、宮原選手・紀平選手が出場するという情報を見て、「7月にデニスショーを観にカザフへ行く」というハードル高めの決断をした勢いで、6月の先行販売でチケットを申し込みました。(その後、さらにサンクスツアーも申し込んでしまうという…。)
というわけで、3月の世界選手権以来のさいたまアリーナへ。
世界選手権の時は「テンくんも出場するはずだったのにな」なんて考えながらの観戦でしたが、ジャパン・オープンはカザフスタン所属のデニス・テンくんにはもともと無縁の大会。
とはいえ、自分にとって現地観戦するきっかけになったのはテンくんなので、選手の演技を見ながらもふとした瞬間にテンくんを思い出すことも。
例えば、島田高志郎選手の「アーティスト」。
「アーティスト」といえばデニス・テンくんの名前が必ず出てくるほどのテンくんの代表作。
色んな選手がこれまでも「アーティスト」の音楽を使ってきましたが、テンくんのプログラムの流れを踏襲しているものが多いような気がします。衣装も似た感じのものが多いような。島田選手のはピンク色のシャツでまた違った雰囲気でしたが。
シニア1年目ながら堂々とした演技で、これからの活躍が楽しみです。
それから、ブレイディ・テネル選手。
演技が始まり、流れてくるメロディーが「ニュー・シネマ・パラダイス」だと気づき、「テンくんもこの曲使ってたな」なんて思いながらも、テネル選手の美しいスケートに見とれていたら、途中、テンくんのプログラムを思い出すような振付がありました。
というわけで、繊細でエレガントながらも情熱的なテネル選手の演技をご覧ください。
動画の1分19秒辺りからのイーグル~2A~スピンの流れにご注目ください。
見覚えありません?
ということで、こちらもご覧ください。
【2011年スケートアメリカ EXより】
この動画だと2分57秒辺りから。音の取り方もほぼ同じです。
当ブログで何度も推してきたとおり、このプログラム大好きなんです。
そんな思い入れのあるプログラムをテネル選手が上品に素敵に演じてくださっているのを見て、テネル選手をより好きになってしまいました。(今年の世界選手権のフリー演技を現地で見たときにすでにファンになっていましたが。)
もちろんテネル選手はそんなこと意識していないでしょうが。
ほかにも、感動した演技など多々あり、片道4時間日帰りという強行スケジュールでしたが、無理して行って良かったな、と思いました。
デニスフレンズショーを観て、デニス・テンを観る
デニスフレンズショーの動画、Twitterの方で紹介したもののこちらではまだ紹介していなかったので、改めてご紹介します。
まずは、ショー本編の前に放送されたショーの紹介番組。過去のデニスショーの様子や今回のショーのリハーサルシーン、インタビューなどが収録されています。
つづいて、ショー本編。
今年のショーもとても素敵なショーでした。
が、若干編集されているところが気になったので少々補足を。
- 番組ではカットされていましたが、ダビン選手の演技の後に客席にいらっしゃったフランク・キャロル氏とエレーナ・ブイアノワ氏が紹介されました。
- 演技後の観客の盛り上がりが今ひとつに見えますが、現地では盛大な拍手と歓声でした。
- ところどころジャンプミスなどがありましたが、カメラの切り替えによる配慮が施されています。
- 後半の生演奏による演技の際には、各出演者とも演技後各方向に向かってお辞儀をした後、舞台に向かってお辞儀と拍手をし、演奏者への感謝を伝えていました。
動画でも素晴らしいショーなのですが、残念ながら現地の雰囲気は動画では伝わらないものだなぁというのが率直な感想です。
と、一通り今年のショーの動画を見た後で、やっぱり何かが足りない、テンくんの演技が見たい!!
ということで、ショーで演じられたテンくんのプログラムのうち、再現度の高かった4作品をテンくんの動画で振り返ってみようと思います。
まずは、無良崇人さんが演じてくださったアーティスト(2013年世界選手権SP)。19歳で初めて世界選手権メダリストになった時の演技です。
つづいて、チェ・ダビン選手が演じてくださった Tu Sei(2017年ニース杯SP) 。
2017年8月に韓国で足首の靭帯を断裂するという怪我に見舞われ、そのまま約1か月間韓国の病院でリハビリ生活。ようやく退院して約1か月が経ったかなという頃に出場したのがこのニース杯です。かなり無理をしての出場ですが、初戦ということで表情にも余裕があり、また西日がいい具合に照明効果を発揮しているので、おすすめの動画です。
そして、浅田真央さんが演じてくださった「雨に唄えば」(2013年国別対抗戦EX)。テンくんのショープログラムの中でも一押し。デニス・テンのいいところの詰め合わせのようなプログラムです。
最後に、ジェレミー・アボットさんが演じてくださった「マイケル・ジャクソンメドレー」(2011年アスタナ冬季アジア大会EX)。
テンくん17歳。アボットさんの大人の演技に比べると、まだ若いなーというところもありますが、観客を沸かせるテクニックはこの頃から一流。地元カザフスタンでの大会で優勝した喜びを全身で表現しているようにも見えます。
以上、テンくんの名プログラム集でした。
ちなみに、今季のダビン選手のSPはTu Seiです。今季は怪我などなく良いシーズンになりますように。
ちょっとお知らせ&サンクスツアー感想
《お知らせ》
2018年のデニス・テン&フレンズでテンくんが披露した“She Won’t Be Mine”について。
アップロードしていた動画が権利の関係で削除されていたのですが、撤回されたそうで再び見ることができるようになりました。
演技後に会場で流れたコメントも収録していますので、ぜひご覧ください。
それから、先日、デニスショーにも出演された浅田真央さんが主宰する「浅田真央サンクスツアー」に行ってきました。
とても評判の良いショーですが、予想以上に素晴らしかったです。
今井遥さんの情感あふれるスケーティングに心を揺さぶられ、真央さんの笑顔と超絶ステップに魅了され、仮面舞踏会の衣装が似合いすぎる無良崇人さんに見とれ、真央さんの連続ジャンプやツイズルのテクニックに驚嘆し、目の前で3Aや3Lzを鮮やかに決める無良さんに圧倒され、それぞれの個性を生かした振付・演出に感心し、チームワークの良さに感動していたら…、えっ?もう終わり?
次から次へと華やかなプログラムが繰り広げられ、あっという間の1時間半でした。
ちなみに、別の日に見に行っていた同僚(男性)や友人らも絶賛していました。
日本のショーはコスパ的に人に勧めづらいのですが、サンクスツアーは自信をもってお勧めできます。
正直、スケートはもういいかな、と思っていたのですが、この夏はデニスショー、サンクスツアーと2つもショーを見に行ってしまいました。さらにチームオレンジチアーズの “Get in ice” も観覧。
どれも楽しく、また見たい、行きたいと思うイベントでした。
デニスショー2019鑑賞記④&デニスショー放送情報
デニスショーのつづき、後半は写真中心で振り返ります。
テンくん作曲の音楽にのせて出演者全員によるプログラム。
中央でリフトされているのはロシアのDmitry Kashaevくん。オープニング、フィナーレでもセンターで堂々と存在感のある演技を披露しました。
ここからはオーケストラの生演奏での演技。まずはセルゲイ・ヴォロノフ選手。
無良崇人さん。
チェ・ダビン選手。
リュブチェンコ&ウォーレン組。何と葉巻を口にくわえた状態でのアクロバット演技。
エレーナ・ラジオノワ選手。
マリー=ピエール・ルレさん。
シェフチェンコ&エレメンコ組。スーツケースを使うプログラムはデニスショーの定番なのでしょうか…(2015年アボットさん、2018年テンくん)。
ジェレミー・アボットさん。
浅田真央さん。
最後はウィーバー&ポジェ組による「SOS d'un terrien en detresse」。
音楽とともにテンくんの影が…。まるでスポットライトに照らされたテンくんがその場にいて演技しているかのよう。
その影と入れ替わりに2人が登場。昨シーズンのFPですが、使用しているのはディマシュが歌うテンくんのプログラムの方の音源。
そして、フィナーレは恒例のカザフ民族衣装を身に着けての演技。
前回、前々回と同じ振付なので、マリー=ピエール・ルレさん、リュブチェンコさん、アボットさん、ラジオノワ選手はもう覚えてしまったでしょう。
ただ、これまでと異なるのはテンくんが登場しないこと…。
いつもテンくんのパートナーだったラジオノワ選手はテンくんの不在を特に強く感じたかもしれませんね。
もう一つこれまでと異なるのは、地元の子どもスケーターたちが群舞に参加したこと。2年前のユニバーシアードのエキシビションの時にも子どもたちが出演していましたが、当時に比べると全体的に上達しているように感じました。
また、テンくんのファンミーティングやスケート教室に参加していた子の姿も見えました。テンくんの指導を受けた子どもたちが活躍するようになる日も遠くないのかも。
ショーの後、記念撮影のためにリンクに出てくるであろう選手を待っていると、早速ヴォロノフ選手が出てこられました。近くに来られたので、素晴らしい演技へのお礼と日本から来たということを伝えたところ、「アリガトウ」と日本語で返され手を差し出し握手していただきました。
今回のデニスショー、テンくん不在でしたがこれまでと同様にテンくんが企画したかのようなショーでした。
そんな素敵なショーのオーガナイザーはナタリア・ベステミアノワさん、イゴール・ボブリンさん。
今回のショーもやっぱりデニス・テン&フレンズショーでした。
出演者、スタッフ、テンくんのご家族・ご友人、その他ショーに関わった全てのみなさま、素晴らしいショーをありがとうございます。
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Denis Ten OFFICIALさんよりショーの放送のお知らせ。
8月31日19時(日本時間22時)からKhabarで放送されるそうです。
それに先立って、18時45分(日本時間21時45分)からテンくんについて紹介されるミニ番組も放送されるようです。
日本からもKhabarのサイトから見ることができると思いますので、ぜひご覧ください。
デニスショー2019鑑賞記③
デニスショー、出演者順に振り返っていたはずなのですが順番間違えていました…。ラジオノワ選手の次は、2019年世界ジュニア選手権銀メダリストのロマン・サヴォシン選手でした。
サヴォシン選手はJGPデビュー戦から密かに応援していたのですが、現地で見るのは初めて。いつの間にか雰囲気がすっかり大人になっていて身のこなしやスケーティングがとても上手くなっていることに驚きました。
そして、今季からシニアという若い選手にもかかわらず、場慣れしていて観客の方をしっかり見ながら演技している様子がとても印象に残りました。来年のショーにも出演してくれるといいなぁ。
そして、デニスショー常連、昨年のショーでも観客を魅了したジェレミー・アボットさん。ファンの方のSNSによると先約(フランスでコーチとしてキャンプに参加)を調整しての出演だったそうです。
プログラムは、テンくんが15~17歳頃にショーやEXで披露したマイケル・ジャクソンメドレー(You Are Not Aloneほか)。2011年カザフスタンで開催されたアジア大会のエキシビションで披露したプログラムなので、その時にご覧になった方も会場にはいらっしゃったかもしれません。
テンくんのは若さと身体能力を存分に生かしたダンサブルなプロという印象でしたが、大柄で落ち着いた雰囲気のアボットさんが演じるとまた違った印象。さすが、めちゃくちゃ上手い。観客の歓声もすごい。
このプロをアボットさんに依頼したのは大正解!!
ついでに「Money On My Mind」を滑るアボットさんも見てみたいなぁ、なんて思いました。
そして、お待ちかね、浅田真央さん。演技前、スクリーンに映る真央さんの笑顔を見ただけで胸が熱くなってしまいました。
メッセージ動画が終わると、聞き覚えのある音楽が…。そして見覚えのある衣装を着た真央さんが登場。
真央さんが披露したのは「雨に唄えば」。当ブログでも何度かご紹介した名プログラムです。衣装は国別対抗戦EXとプリンスアイスワールドでテンくんが着ていたものと同じデザイン。
このプロ、なかなか難易度高いと思うのですが、さすが真央さん。元の振付をところどころ真央さんテイストにアレンジしながら、テンくんの演技を再現してくださいました。再現という表現は適切ではないかもしれませんが、真央さんはまるでデニス・テンになりきって演じたかのようでした。
このプロを何度か見たことのある方なら、写真の真央さんのポーズがどの振付の部分なのかわかるはず。
元リンクメイトであり、テンくんのことをよく知っている真央さんだからこそできる演技だな、と思いました。
第一部最後に登場したのは、ケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ組。
プログラムは「Per Te」。「Per Te」はテンくんが2012年から2013年にかけてショーやエキシビションで披露したテンくん自ら振付した作品です。振付時はおそらく18歳。
もちろんアイスダンスなので元の振付とは異なりますが、「Per Te」を滑るテンくんを思い出すような、美しく繊細でありながら力強いスケーティングを披露してくださいました。
撮影した写真を見ても目を閉じているものが多いのですが、お2人ともテンくんを想いながら滑っているのかな、と感じました。
そして、昨年のデニスショーのフィナーレでテンくんとともに楽しそうにはしゃいでいたお2人の姿を思い出しました。
(もうちょっと続きます…)
デニスショー2019鑑賞記②
(デニスショーの続きです。)
冒頭から無良さんのアーティスト、ヴォロノフ選手のテンくん振付プロ、ダビン選手のTu Seiと、テンくん色の濃いプログラムが続き、この流れが続くと最後まで心が持たない…なんて思っていたところ、舞台上の司会者が来賓者を紹介しはじめました。
会場後方の来賓席にいらっしゃったのは、フランク・キャロル氏とエレーナ・ブイアノワ氏。お二人は紹介されると立ち上がり、繋いだ手を高く上げ、観客の拍手に笑顔で応えていらっしゃいました。
アメリカの大御所コーチキャロル氏とロシアの名門CSKAで長年コーチを務めるブイアノワ氏が並んでショーを鑑賞、しかも手を繋いでる姿なんて、なかなか見られない貴重な光景です。
デニス・テン&フレンズショーは、イベント業者ではなく、テンくん自らスケーターに出演交渉をしていました。
そのおかげで、一般的なアイスショーとは異なり、所属国・所属先や事務所といったしがらみに囚われることなく、デニスショーでしかありえない組み合わせのメンバーが出演してきました。
キャロル氏とブイアノワ氏についても、テンくんが繋いだ縁がなければこうやって手を取り合うことなんてなかっただろうなと思うと感慨深いものがあります。
(タチアナ・タラソワ氏は来られなかったようです。お身体の具合はいかがでしょうか?心配です。)
さて、来賓者の紹介で場内の緊張した雰囲気が和らいだところで、続いて登場したのはソフィア・シェフチェンコ&イゴール・エレメンコ組。
2019年世界ジュニア選手権で銅メダルに輝いた若いカップルですが、テンくんがソチオリンピックシーズンのFP「お嬢さんとならず者」を堂々と演じました。
テンくんは、お嬢さんを想う「ならず者」を演じていましたが、こちらの2人はそれぞれ「お嬢さん」と「ならず者」を演じているようでした。
音楽はテンくんのプログラム前半の勇ましい曲調の部分のみを使用。2人のリズムに乗った勢いある演技に大きな拍手が起こっていました。
この音楽は旧ソ連圏では有名らしいですし、テンくんのソチオリンピックの時の映像とともにカザフスタンでは何度も流れたでしょうから、懐かしく思われる観客の方もいらっしゃったでしょう。
そして、デニスショー常連アクロバットのオレクサンドル・リュブチェンコさん。今回のパートナー、フィリップ・ウォーレンさんは今年3月の国際大会に出場されてますので現役選手でしょうか。(ちなみにテンくんの誕生日の翌日生まれの26歳です。)
2人の息の合ったアクロバット演技に観客も盛り上がり、バックフリップやリフトなどの技を決めるたびに大きな拍手が沸き上がっていました。
舞台の上ではロマンティックチュチュを着たバレエダンサーたち(地元のバレエスクールの生徒さんたちだと思われます)がずっと踊っていて、2人も舞台に上がる場面もありました。
今回のデニスショーも、アイスショーを初めて見る方やお子さまでも退屈しないように、工夫された構成になっていました。
そして、同じくデニスショー常連、エレーナ・ラジオノワ選手。「Mi Mancherai」をしっとりと演じました。
冒頭、テンくんのプログラムだと目をつぶって回想に耽りながらゆっくりステップを踏む振付でしたが、ラジオノワ選手はじっと遠くを見つめるような硬い表情で左右にゆっくり揺れる振付になっていたところが印象的でした。
昨シーズンは怪我でほぼ試合に出ていなかったラジオノワ選手、まだ調子は良くないのかなという感じでしたが、丁寧で心のこもった演技に胸が熱くなりました。
ラジオノワ選手はデニスショー出演以外に、アルマトイでのユニバーシアードで優勝していることもあり知名度が高いのか、男性ファンからの熱い「レーナ!」コールが今年も聞こえました。
そして、またまたデニスショー常連、マリー=ピエール・ルレさん。
昨年のショーでは残念なことに、ちょうど自分の席からはテレビカメラに遮られて空中での演技が殆ど見られなかったのですが、今回はとてもよく見えるポジション。
というわけで、実質今回初めてルレさんの演技を拝見したのですが、まず気迫に圧倒されました。命綱をつけてないそうなので、こちらも緊張してしまいますが、とてもプロフェッショナルで一分の隙もない。見事としか言いようのない圧巻の演技でした。
カザフスタンの観客はルレさんの演技が大好きなようで、拍手歓声がなかなか止みませんでした。
この盛り上がりの後の出演者はちょっとやりづらいのでは?と思いましたが、心配無用。この後もさらに素晴らしい演技が続きます。
(つづく)
デニスショー2019鑑賞記①
昨年6月、デニス・テン&フレンズショーを鑑賞した翌日の夕方、アスタナ空港でテンくんに遭遇。その時に、来年もショーを計画していることをうかがわせるような発言があったので、「来年もショーあるなら行くよ」と心に決めたあの日から1年少々。
今年もデニスショーを見に行きました。
会場はアルマトイ・アリーナ。2017年冬季ユニバーシアードのフィギュアスケート競技の会場になった所です。
会場に入ってすぐのところに今回も大きなパネルがありました。
直前までショー関係者がチケットの宣伝をしていたので、あまりチケット売れていないのかと思っていましたが、ガイドさんによるとチケットは完売とのこと。
席に着き会場を見渡すと、チケット発売当初は販売されていなかったエリアにも観客がびっしりと座っていました。ちなみに、このショーの収益はカザフスタンのスケート振興やテンくんが企画していたプロジェクトの実現等のために使用されるそうです。
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さて、開演。
スクリーンに映し出されたのは昨年のショーで披露された"She won't be mine"の冒頭で流れたビデオフィルム。
つづいてテンくんの歌声が…。 "She won't be mine"、今回のオープニング曲です。
暗闇の中、一筋のライトを辿ってスケーターたちがよろめきながら進んでいく…そんな感じ始まったオープニングでショーの幕が上がりました。
そして、トップバッター無良崇人さん登場。
事前にセットリストなどが公表されていなかったので、いきなりの無良さん登場にすっかり動揺。
衣装から「オペラ座の怪人」かな?と思っていたら、何と「アーティスト」!
テンくんがこのプログラムで2位になった2013年の世界選手権、無良さんも出場されてましたね…。
テンくんの代表作「アーティスト」をこのショーのトップバッターで滑るのはかなりプレッシャーがあったでしょう。
ところどころテンくんを彷彿とさせる動きを取り入れながらも、無良さんらしく雄大な「アーティスト」でした。
つづいて、セルゲイ・ヴォロノフ選手。
テンくんが振付した昨シーズンのFP"Way Down We Go"を披露。
さいたま世界選手権でこのプログラムを見たいと思いながら叶わなかったのですが、アルマトイで見られるなんて。
順風満帆とは言いがたいスケーター人生を歩んできたヴォロノフ選手だからこそ出せる滋味というか風格というか、強い意志のようなものを感じる力強い演技でした。
そして、続いて登場したチェ・ダビン選手は テンくんの2017-2018シーズンのSP"Tu Sei"を披露。
ダビン選手の透明感やまっすぐな雰囲気、そしてテンくんの演技をかなり研究したんだろうなという体の動かし方や音の取り方…。
テンくんを見ているような錯覚に何度か陥り涙が止まらなくなりました。
スピンの時にシャツの裾がめくれてお腹が見えるところまで再現してましたね(日光PIWを思い出しました)。
無良さんのアーティスト~ヴォロノフ選手のテンくん振付プロ~ダビン選手のTu Sei、この流れは正直ちょっとキツかったです。
手に持っていた無良さんのバナータオルは涙拭きに…。
(つづく)
"Denis' Friends"
既に皆さまご存知でしょうが…
7月20日、アルマトイで"Denis' Friends" ショーが開催されます。
出演者は次の通りです。
ケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ
チェ・ダビン
アレクサンダー・リュウブチェンコ &フィリップ・ウォーレン
マリー=ピエール・ルレイ
ロマン・サヴォシン
(アレクサンドラ・ステパノワ&イワン・ブキン組はステパノワ選手の怪我のため残念ながら不参加。)
また、コーチなど来賓者も。
フランク・キャロル
ナタリア・ベステミアノワ
イゴール・ボブリン
エレーナ・ブイアノワ
(以上、発表順。敬称略。7月18日時点)
真央さんは2014年のショーにも出演されていますし、無良さんは2011年アスタナで開催されたアジア大会に出場されていますので、お二人ともカザフスタン訪問は2度目ですね。
それから、髙橋大輔選手はスケジュール都合で出演はかないませんでしたが、近いうちにアルマトイを訪問されるそうです。
ところで、出演者や来賓者が次々発表される中、「テンくんと何かつながりあったっけ?」と疑問の声をSNSでよく見かけたナタリア・ベステミアノワさんとイゴール・ボブリンさん。
実は、2014年国際婦人デーの日に行われたイベントでご一緒しています。テンくんは当日発表のシークレットゲストとしてトークのみの出演でしたが、ベステミアノワ&ボブリンご夫妻は演技を披露されていました。
女性に囲まれて嬉しそうなテンくん…懐かしいなぁ。
さて、私事で恐縮ですが…
昨年のデニスショーを最後に、もう海外にスケートを見に行くこともないだろう…と思っていたのですが、"Denis' Friends" の出演者が発表されるのを見ているうちに、急に気が変わりました。
決定打となったのはフランク・キャロルコーチですね。キャロルコーチが行くなら私も行かなければ、と謎のパワーがわいてきました。
ってことで、"Denis' Friends" ショー、行ってきます。