デニスショー2019鑑賞記②
(デニスショーの続きです。)
冒頭から無良さんのアーティスト、ヴォロノフ選手のテンくん振付プロ、ダビン選手のTu Seiと、テンくん色の濃いプログラムが続き、この流れが続くと最後まで心が持たない…なんて思っていたところ、舞台上の司会者が来賓者を紹介しはじめました。
会場後方の来賓席にいらっしゃったのは、フランク・キャロル氏とエレーナ・ブイアノワ氏。お二人は紹介されると立ち上がり、繋いだ手を高く上げ、観客の拍手に笑顔で応えていらっしゃいました。
アメリカの大御所コーチキャロル氏とロシアの名門CSKAで長年コーチを務めるブイアノワ氏が並んでショーを鑑賞、しかも手を繋いでる姿なんて、なかなか見られない貴重な光景です。
デニス・テン&フレンズショーは、イベント業者ではなく、テンくん自らスケーターに出演交渉をしていました。
そのおかげで、一般的なアイスショーとは異なり、所属国・所属先や事務所といったしがらみに囚われることなく、デニスショーでしかありえない組み合わせのメンバーが出演してきました。
キャロル氏とブイアノワ氏についても、テンくんが繋いだ縁がなければこうやって手を取り合うことなんてなかっただろうなと思うと感慨深いものがあります。
(タチアナ・タラソワ氏は来られなかったようです。お身体の具合はいかがでしょうか?心配です。)
さて、来賓者の紹介で場内の緊張した雰囲気が和らいだところで、続いて登場したのはソフィア・シェフチェンコ&イゴール・エレメンコ組。
2019年世界ジュニア選手権で銅メダルに輝いた若いカップルですが、テンくんがソチオリンピックシーズンのFP「お嬢さんとならず者」を堂々と演じました。
テンくんは、お嬢さんを想う「ならず者」を演じていましたが、こちらの2人はそれぞれ「お嬢さん」と「ならず者」を演じているようでした。
音楽はテンくんのプログラム前半の勇ましい曲調の部分のみを使用。2人のリズムに乗った勢いある演技に大きな拍手が起こっていました。
この音楽は旧ソ連圏では有名らしいですし、テンくんのソチオリンピックの時の映像とともにカザフスタンでは何度も流れたでしょうから、懐かしく思われる観客の方もいらっしゃったでしょう。
そして、デニスショー常連アクロバットのオレクサンドル・リュブチェンコさん。今回のパートナー、フィリップ・ウォーレンさんは今年3月の国際大会に出場されてますので現役選手でしょうか。(ちなみにテンくんの誕生日の翌日生まれの26歳です。)
2人の息の合ったアクロバット演技に観客も盛り上がり、バックフリップやリフトなどの技を決めるたびに大きな拍手が沸き上がっていました。
舞台の上ではロマンティックチュチュを着たバレエダンサーたち(地元のバレエスクールの生徒さんたちだと思われます)がずっと踊っていて、2人も舞台に上がる場面もありました。
今回のデニスショーも、アイスショーを初めて見る方やお子さまでも退屈しないように、工夫された構成になっていました。
そして、同じくデニスショー常連、エレーナ・ラジオノワ選手。「Mi Mancherai」をしっとりと演じました。
冒頭、テンくんのプログラムだと目をつぶって回想に耽りながらゆっくりステップを踏む振付でしたが、ラジオノワ選手はじっと遠くを見つめるような硬い表情で左右にゆっくり揺れる振付になっていたところが印象的でした。
昨シーズンは怪我でほぼ試合に出ていなかったラジオノワ選手、まだ調子は良くないのかなという感じでしたが、丁寧で心のこもった演技に胸が熱くなりました。
ラジオノワ選手はデニスショー出演以外に、アルマトイでのユニバーシアードで優勝していることもあり知名度が高いのか、男性ファンからの熱い「レーナ!」コールが今年も聞こえました。
そして、またまたデニスショー常連、マリー=ピエール・ルレさん。
昨年のショーでは残念なことに、ちょうど自分の席からはテレビカメラに遮られて空中での演技が殆ど見られなかったのですが、今回はとてもよく見えるポジション。
というわけで、実質今回初めてルレさんの演技を拝見したのですが、まず気迫に圧倒されました。命綱をつけてないそうなので、こちらも緊張してしまいますが、とてもプロフェッショナルで一分の隙もない。見事としか言いようのない圧巻の演技でした。
カザフスタンの観客はルレさんの演技が大好きなようで、拍手歓声がなかなか止みませんでした。
この盛り上がりの後の出演者はちょっとやりづらいのでは?と思いましたが、心配無用。この後もさらに素晴らしい演技が続きます。
(つづく)