デニス・テン応援ブログ

カザフスタンの英雄 Denis Ten 絶賛応援中!!!

あらためてシルクロードプロを語る

2015年2月14日―それはデニス・テンくんが四大陸選手権で金メダルを獲得した日。またISUフィギュアスケートのチャンピオンシップスでカザフスタン選手が初めて表彰台の一番高い位置に立った記念すべき日でもあります。

前回、SPのカルーソを取り上げたので、本日はFPのシルクロードプロについて。

プログラムの正式名称は「『New Impossibilties』より 『アンブッシュ・フロム・テン・サイズ』、 『ヴォーカッション』」。通称「シルクロードプロ」。

まずは動画をご覧ください。

デニス・テンと聞けばこのプログラムを一番に思い出す方も多いかと思います。多くのスケートファンに強い印象を与えた、まさにテンくんの代表作。

テンくん自身も自分のルーツとの縁もあり、思い入れのあるプログラムのようでした。

なのに…

自分にとって好きなプログラムの1つではあるのですが、何度見ても「一番のお気に入り」にはならなくて。それがなぜか、ずっと引っかかっていたのですが、最近何となく理由がわかりました。

端的に言うと「勝つこと」への意識が強く感じられるプログラムだからです。

もちろん競技なので「勝つこと」を意識するのは当然なのですが、プログラムをアート化することに長けていたテンくんの演技からは「勝つこと」への貪欲さがあまり見えなかったんですよね。

で、具体的に、このプログラムで「勝つこと」への強い意識を感じたのは主に次の2か所。

まず、後半にさしかかるところのスピードを抑えた低い姿勢でのイーグルからの3A。前後の動きとの必然性がないですし明らかに加点狙いなんですよね。

四大陸選手権ではオーバーターン、世界選手権ではステップアウト、と正確に着氷することができなかったのですが、仮に決まっていたとしても、必然性なく綺麗でもない「繋ぎ」は個人的に好きじゃないです。(こういうのが評価されるのが潮流のようですが…。)

でも、それを敢えて入れてきたのを見て「テンくん、今季は勝つつもりだな」とニヤニヤしながら期待したのも事実だったりします。

もう1か所は、ステップシークエンス途中の横を向いて腕を上下にパタパタやる動作です。最後のクライマックスに向かうところでのインパクトある動きなので、観客やジャッジには強く印象に残る振付です。

が、だからこそ残念なんです。テンくんじゃなくてもできる動きなので…何だかもったいないな、と。

振付のローリー・ニコル氏は、最近のインタビューでデニスに世界王者になってほしかったけど彼はメダルに重きを置いていなかった、と語っています(「World Figure Skating 85」より)。

おそらく、このプログラムでテンくんが世界王者になることを期待していたんだろうな、と思うと、他のプログラムには見られなかった「勝ち」を意識した部分が垣間見られるのも納得。ニコル氏の想いのこもったプログラムだったのですね。

シルクロードプロはデニス・テンの身体的能力・パフォーマンス力の高さ、豊かな音楽性という魅力が目一杯詰め込まれた名作であるとともに、デニス・テンが「勝つこと」を意識した数少ないプログラムとしても特別な作品であるといえると思います。

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