デニス・テンとユニバーシアード
2019年冬季ユニバーシアード フィギュアスケート競技が終わりました。
ユニバーシアードといえば思い出されるのは2年前、デニス・テンくんの出身地カザフスタンのアルマトイで開催された大会。
テンくんは早くから地元アルマトイでのユニバーシアードへ出場したい旨を明らかにしていました。そして、その下見も兼ねて、と2013年トレンティーノ(イタリア)での大会にエントリーしていました。
怪我明けながら、メラーノ杯、アイスチャレンジと2週連続出場し調子を上げていたのでユニバーシアードでも優勝が期待されていましたが、何と本番当日の練習の際に怪我&靴が壊れてしまい棄権。
第1グループの第1滑走なのに現れず、第2滑走の選手の演技から始まったため、「テンくんは??」と必死で情報収集したことを懐かしく思い出します。
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それから3年数か月後のアルマトイでの大会。
幸いにも現地で観戦することができました。
新しく立派なアリーナは超満席。小さな子どもから高齢の方まで、おそらく初めて見るであろうフィギュアスケートの国際大会を楽しみにしているのが、試合開始前から伝わってきました。
あまりフィギュアスケートを見慣れていない観客にとっては全てが新鮮だったのでしょう、ダブルジャンプでも盛大な拍手、レベルが取れてなさそうなスピンでも大歓声、ジャンプの抜けや転倒が続くと励ますように温かい声援や拍手…といった具合にとても温かい…というか熱い会場でした。
また、会場ではボランティアスタッフにより応援グッズが無料で配られていました。カザフスタンの国旗やスティックバルーンとともに、「10」や「9」と書かれた謎の札…。
「10」の札を見て、「デニス・テンのテン(10)かな?」なんて言っていましたが、「9」の札を持つ人もいたので謎は深まるばかり。「PCS9点以上出して!」というメッセージかな、なんて話をしたのも懐かしい思い出です。(結局何だったんだろう?)
さて、テンくんの演技について。明らかに本調子ではないながらも、ショートはノーミスで1位。フリーは前半ちょっと危なっかしかったですが、後半上手くまとめて何とか1位、金メダルを獲得しました。
動画を見ていただければわかると思いますが、会場の盛り上がり具合が半端じゃないです。
3Aが1Aになった時はあの熱い会場も一瞬凍りましたけどね。
採点待ちの間に会場の大きなモニターでリプレイが流れ、前のめりで吠えるモロゾフコーチの姿がアップで映し出された時の観客の反応も面白かったなぁ。
それから試合外で思い出深いのはエキシビションの練習でのこと。
練習会場に到着したエレーナ・ラジオノワ選手は、何かトラブルでもあったのか、ややご機嫌よろしくない雰囲気。それを察したテンくんから近づいたのか、ラジオノワ選手から近づいたのかは忘れましたが、2人で並んでゆっくり滑りながら話し始めました。
2人は他の選手の練習の邪魔にならないよう配慮しながら、かなり長い時間話し込んでいました。そして、ひとしきり話が終わるとラジオノワ選手はスッキリした表情になり、練習を始めました。
その様子を遠くから観察し「テンくんって聞き上手なんだな」と感心したのでした。
そして、アブザル・ラキムガリエフ選手のエキシビション演技が見られたのも最高の思い出の1つ。生で見たアブザル選手の心のこもった演技は忘れられません。
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あれから2年。
今年のユニバーシアードではカザフスタン代表のエリザベート・トゥルシンバエワ選手が女子シングルで2位と大健闘。
アルマトイ大会につづき2度目の出場となったアイザ・マンベコワ選手とアルトゥール・パニヒン選手はそれぞれ17位と15位。
前回に比べると出場人数が少ないとはいえ、パニヒン選手は前回の28位(フリーに進めず)から大幅に順位を上げました。昨シーズンからほとんど国際大会にも出ていなかったのに3A入れるようになっていてビックリ。